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事務局からの挨拶

Carbon-neutral カーボンニュートラルへ向けて大学の知を結集 山極壽一(総合地球環境学研究所・所長)

いよいよ「カーボンニュートラル達成に貢献する⼤学等コアリション」が始動しました。この目的のために結集した大学の総力を挙げて取り組んでいかねばなりません。事務局を務めさせていただくことを大変光栄に思うと同時に、その重責をひしひしと感じております。みなさまの積極的なご協力を切にお願いする次第です。

2021年4月に科学技術基本法の一部が改正され、法の対象に「人文科学のみに係る科学技術」と「イノベーションの創出」が追加されるとともに、研究開発法人・大学等に対して人材育成・研究開発・成果の普及に自主的かつ計画的に努めることが明記されました。これを受けて、第6期科学技術基本計画には、「社会や自然との共生のための循環型社会を実現」することが謳われ、「持続可能性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」と、その実現に向けた「総合知による社会変革」を目指すことが目標として掲げられています。大学はその「総合知」の蓄積と応用の場所であり、教育・研究・社会貢献をミッションとする公共財としてその役割を果たすことが求められています。

山極壽一(総合地球環境学研究所・所長)

気候変動対策は知の拠点としての大学の力を発揮する格好の課題です。2015年に締結されたSDGsの17の目標の一つとして、各国が温室効果ガスの削減に具体的な数値目標を掲げて取り組んでいます。わが国も昨年菅総理が2050年までにカーボンゼロを目指すことを宣言され、小泉環境大臣が2030年までに46%の削減という数値目標を設定されました。大変高い数値目標と思われますが、日本の大学が総力を挙げて取り組めば、世界に先駆けて革新的技術を創出し、社会変革を主導すれば、必ず目標を達成できると信じています。11月に英国で行われたCOP26も終了し、グレタ・トゥンベリさんたち若い世代から批判も受けましたが、先進国と発展途上国がとりあえず一致した目標を進める合意ができました。

すでに私たちは、
1)ゼロカーボン・キャンパス
2)地域ゼロカーボン
3)イノベーション
4)人材育成
5)国際連携・協力
という5つのWGを立ち上げて課題に取り組んでいます。それぞれのWGでこれまでに知識や経験を蓄積してきた大学が主幹校となってそれぞれの課題を推進し、取りまとめています。どの課題でもまずは情報の共有が必須であり、これから毎年総会やシンポジウムを開いて進捗状況を報告し合うと同時に、WG間の連携を強めてカーボンゼロの目標へ向けて一歩一歩着実に歩んでいこうと思っております。

このコアリションに集う皆さんの熱意とご活躍に大きな期待を抱いております。事務局といたしましても取りまとめに精いっぱいの努力を傾注する覚悟です。どうぞよろしくお願いいたします。